この秋開催する展覧会では、日本を代表する陶芸家であり、人間国宝でもある清水卯一の生誕100周年を記念し、その芸術と人物像に焦点を当てます。
本展では、その輝かしい業績だけではなく、ご家族のまなざしを通して、より人間味あふれる清水卯一の姿をご紹介します。そして、「夢中」という精神を通して、一人の陶芸家としてだけでなく、人間・清水卯一の素顔に迫ります。
「夢中」という言葉には、ひとつのことに心を奪われ、時間や周囲の存在、さらには自分自身さえも忘れて没頭する状態という意味があります。
英語の dream が「夢」や「幻想」を想起させるのに対し、日本語の「夢中」は、純粋な好奇心に導かれ、無心に探求を続ける姿を表す言葉でもあります。そこには執着ではなく、驚きや喜び、そして子どものような自由な探究心が息づいています。
本展のタイトル「夢中」は、まさに清水卯一の創作姿勢を象徴する言葉です。
鉄釉の名手として人間国宝に認定された後も、卯一はその評価に安住することなく、新たな土や釉薬、造形への挑戦を生涯にわたり続けました。その創作を支えていたのは、名声や評価を求める心ではなく、尽きることのない好奇心でした。
本展に並ぶ作品の一つひとつは、生涯にわたり「夢中」で土と向き合い、新たな表現を探究し続けた陶芸家・清水卯一の創作の軌跡を映し出しています。
作品に宿る「夢中」の精神を、ぜひ会場にてご高覧ください。