2019年10月に開館した福田美術館は、江戸時代から現代にかけての美術品を幅広く網羅する豊かなコレクションで、お陰様で大変ご好評いただいております。本展では、絵に込められた多様な祈りのかたちに光を当てます。
仏の姿や物語を描いた「仏画」は、歴史を持つ伝統的な画題ですが、近代の画家たちは写実的な表現も取り入れながら、新たな感性で制作に挑みました。当館では初めて、その意欲作の数々を一挙に公開いたします。縁起の良い植物や動物を描いた「吉祥画」からは、お正月の床の間に七福神や鶴亀、松竹梅を飾るといった習慣の中に、生活の平安を祈る気持ちが窺えます。また、日本画壇の巨星・東山魁夷は、「描くことは、誠実に生きたいと願う心の祈り」と語り、真摯に風景と対峙し続けました。その筆致は、観る者の心を浄化するような静謐さに満ちています。
慌ただしく過ぎる毎日を生きる私たちが、作品を通じて自らの内なる声と語り合う。そんなひとときをお過ごしいただければ幸いです。