KUNST ARZT では、森脇敦子の個展を開催します。
これまで森脇敦子は、一貫して自身の髪の毛を布や紙にステッチする行為を通して表現してきました。
「祖母や母の思い出のつまっている風呂敷に自分の髪の毛を刻みたい」という衝動から始まったこの行為は、時間の経過したもの、記憶の染み付いているもの、懐かしさを感じるものを支持体にして、自分と向き合う為の行為として継続してきました。
淡々とミニマルに、時には文様と戯れるかのように刻まれるステッチには、独特のリズムを感じさせるところがあり、髪の毛がステッチされた布や紙は不思議な存在感を纏います。「気持ち悪い」と一刀両断することは簡単ですが、ステッチする対象とアーティストとの対話に耳を傾けることによって聴こえてくる・見えてくる世界を楽しんでください。 (Kunst Arzt 岡本)