「私たちの万博」は、1970年から55年後、大阪で再び万博が開催されている今、そのレガシー、機能、その組織方法を問い直す。万博のアーカイブを芸術を通して展開することで、「過剰」で「エリート」らしく見える万博に対して、「謙虚」で「万人のための」代替案を提案し、万博の未来を想像する。
私たちは、二つの大きな視点で万博を捉え直すことを試みる。一つ目は、様々な国々が植民地化され、恒常的な戦争状態にある現在において、「独立した万博」を想像すること。二つ目は、「万博」という芸術形式が内包する、「未来の社会」という理想を、独立した、批評的な、労働者的な方法で問い直すことである。
ここ数年、ガザは国際法を無視したイスラエル軍に砲撃され続けており、それに対して日本では、現代美術シーンの一部で、パレスチナ支援の動きが高揚している。ベトナム反戦運動のさなかにあった1970年万博と、パレスチナ支援気運が高まる2025年万博の間には類似点が見出せるはずだ。
また、万博の候補都市が提案するテーマは、開催国の産業振興とアイデンティティのプロモーションでもある。私たちは、「未来の社会」に関連する、制度のパラドックスを明らかにしようと試みる。技術革新政策やアイデンティティに関する言説が包含する、暴力的で抑圧的な要素に、哲学的な視点から疑問を投げかけるものでもある。技術の進歩は、資本主義社会において、資本蓄積の原理を支えるものだ。だからこそ、私たちは、技術そのものがもたらす、倫理的・政治的帰結について、再考しなければならない。
アーティスト
有吉玲、伊阪柊、飯沼 洋子、黒田健太、黒田典子、川口哩央、しばた みづき、東畠孝子、太湯雅晴、前田真治
運営
ゲバルト団体
キュレーション
アレクサンドル・タルバ
サポート
平居香子、アントワーヌ・ハルプク
コーディネーション
太湯雅晴、前田真治
協力
森谷壽(協同組合三和市場商店街理事長、マルサ商店店主)、怪獣シアター、北川星子(染織工房 tonari)