本展は東京・西麻布のギャラリー「桃居」オーナーの広瀬一郎のキュレーションによる、3人の陶芸作家のグループ展です。
ここ10数年の日本の陶芸界を俯瞰すると、生活に密着した器の作り手がどっと増えてきたことに、あらためて驚かされる。もちろん、日常に根ざす作品は工芸の基本だから、こういった傾向は歓迎すべき事柄だが、一方であまりに振り子が片方に動きすぎていることに、一抹の不安も覚える。器から少し離れた場所で冒険を重ねる若い作り手が活躍できないと、結局、器作りそのものが痩せて、平板化してしまうのではないか、そんな危惧を抱くのだ。片側に動きすぎた振り子は、やはり、どこかで逆方向に揺り戻される必要がある。そんな思いから、今回の3人展を企画した。3人は器作りにも大きな情熱をもって励みつつ、同時に造形的な作品に挑みつづけてきた。今展では、そんな3人の器とオブジェのふたつの側面を楽しんでいただける組み立てとなっている。
竹内紘三は白磁を列柱状に成型し、それをランダムに破砕することで生まれるクールであやうげな美を追求してきた。田淵太郎は従来一点のくもりもない透徹した釉調を良しとしてきた白磁を薪窯で焼成することで、あえて破 調を呼び出し様々な窯変と遭遇させてくれる。五味謙二は化粧土を複雑に組み合わせながら、有機的なフォルムを 積み上げ、かってない独得の色感、質感を現出させている。選び取った方向はそれぞれだが、三者三様に現代陶芸に一石を投じる果敢な試行をつづけている。
Walk on the wild side -荒野を歩め、が彼らの合言葉だ。
― 広瀬一郎
■関連イベント
オープニングレセプション 3月16日(土) 6:00 - 8:00pm
アーティスト・トーク( ギャラリー内):3月16日(水) 6:00 - 6:30pm (ご予約不要)