ホテル アンテルーム 京都内GALLERY9.5では、キュレーター原田祐馬氏(UMA / design farm)と松倉早星氏(ovaqe)の共同企画による大原大次郎氏の個展<もじゅうりょくツアー>を開催致します。
東京での初個展より3年振りとなる本展では、2012年に吉祥寺美術館でのグループ展「モジもじ文字」でも好評だったモビールのタイポグラフィシリーズ<もじゅうりょくのモビール>を中心に、京都での滞在制作やワークショップの集積を展示致します。
本展では、準備風景から設営までの制作プロセスを「#もじゅうりょく」にて公開中のほか、特設サイトも現在準備中です。
会期中にはイベントやワークショップも予定しております。
皆様、是非ご高覧くださいませ。
いつもと違う方法で文字を書いてみる。
まずは道具を変えてみる。例えば鉛筆を筆に変えてみる、木に彫ってみる、拾い物にインクをつけてスタンプのような要領で書いてみるなど。
次に、環境を変えてみる。柔らかい絨毯の上やアスファルトの上に紙を置いて書いてみる、海に潜って書いてみる、広場に行って自転車の軌跡で、暗い場所で光の軌跡で書いてみるなど。
さらに、書字の方法を変えてみる。目をつぶって書く、利き手と逆で書いてみる、鏡文字で書いてみる、目隠しをして、別の人からの指示だけで書いてみる…。
不思議なことに、いつもとは大きく違う道具や環境や方法で書いたにもかかわらず、できあがる文字はどことなく自分の普段の字に近い。偶然性をまといながら、一見無意識に引かれた線にも「癖の母体」が存在する。慣れた材料や環境や方法を制限されて制限されて残った薄皮一枚のような部分に、人それぞれの型が残る。
既存の風景から文字の原型を探るフィールドワーク<文字採集>。シャッフルされた言葉の紙片に自分の言葉を足し、さまざまな手法で記述する言葉あそび<文字くじ>。海の漂流物や廃品など、普段文具として扱われていない物体を記述用具として再開拓する<オモンマ文具店>、デッキに彫られた文字を、身体的なアプローチや環境要因によって変化させていくスケートボード彫刻<文字に乗る>など、ここ数年のトライアルは、文字の造形や表面的な形象の詰めではなく、記述する際の身体性や知覚の立ち上がり、個人に宿る潜在的な型を意識化していく行為である。
2012年夏に、平野甲賀、鳥海修とともに行った展覧会『モジもじ文字』にて、<もじゅうりょく>シリーズを出展。
<もじゅうりょく>は、文字、重力、モジュールを掛け合わせた造語。
この<もじゅうりょく>を軸に、モビールのタイポグラフィシリーズ<もじゅうりょくのモビール>、建築図面を再構成し「組版」した青焼きのプリントシリーズ<もじゅうりょくのモジュール>、写真家・ホンマタカシの写真と、ロッククライミングの記譜をもとに字母を探り記述したドローイング「稜線」を制作。
今回の京都HOTEL ANTEROOMでの個展は、写真家・平野太呂の運営するNo.12 Garellyでの初個展から三年ぶり、東京以外での展示は初となる。個人の制作のほか、共同でのワークショップで蓄積された書字の行為、言葉と文字の知覚と、さらなる課題。
今回はそれらを引き連れて<もじゅうりょく>の世界へといざなう、初めてのツアーとなる。
大原大次郎