私たち日本人は自然に無限の共感を抱いていると言われます。自然崇拝が源泉とされるその心性に、自然科学の視点を加え、自然界の秩序や生命の本質を俯瞰した表現を模索しています。細胞→鯨(個体)→地図(社会)と、自然界の階層を貫くモチーフを使い、時の海を未来へと泳ぐ命の方舟を作っています。
本展示会では、人の影響を受け変化する現代の自然をテーマにしています。地球温暖化、付随する気象の変化、そして海洋汚染、この人新世において自然は急速にその姿を変えています。かつて日本人は、雨、風、雷などの気象を、竜神、風神、雷神といった神や物の怪として畏れ敬ってきました。一方で、現代社会にてそれらは、天気予報に見られるように強弱を色分けするなど、感情を排し機能的に表されます。また、海岸に目を向ければ、街から海に流出した色とりどりの廃プラスチック片が漂着、散在しています。本展示会では、現代の自然を表わすキーワードを「色」であるとし、人によって彩られたこの世界をカラフルに表現した作品を展示いたします。絵画を中心に約 20 点展示予定です。