HRDファインアートでは、2023年9月9日から10月21日の会期で原口勉の個展「新型広告」を開催します。
原口勉は1973年熊本生まれ。ほぼ独学で美術を学び、長年にわたり「アートホーリーメン」名義でコミックをベースとした絵画作品を発表してきました。2019年からは本名の「原口勉」として制作・発表を開始。従来のマーカーペンを用いた線描による漫画的な描画手法に、油彩やキャンバスという正統的な絵画の技法を融合させながら、イメージが氾濫する現代の物質消費社会やメディア環境、そして現代美術における東西問題や南北問題、中心と周縁の関係性などにも言及した作品を精力的に生み出し続けています。また、平面作品にとどまらず、地域の歴史に立脚したインスタレーションなども手掛け、さらには自身もキュレーターとして展覧会の企画にも積極的に取り組んでいます。
本展では、グローバリズムと地域性を大きなテーマに据えた近年の「GLOBAL」シリーズをさらに進化・深化させた新たなシリーズ「新型広告」の作品を中心に展示します。現代に生きる私たちの生活に深く浸透している大企業や国際的ブランドの商標やシンボルマーク、キャラクターなどをトレースして取り入れたこれらの作品群からは、サブリミナルな宣伝広告さながらに、多面的で逆説的なメッセージを読み取ることができます。身の回りのありふれたイメージをポップアート的な手法で配した画面は、現代の「風景絵画」と捉えることもできるでしょう。
地元・熊本や九州を中心とした活動から、近年ではアジアを中心に海外へも発表の機会を広げ注目度も高まる原口勉の、関西圏では初の個展となります。是非ご高覧ください。
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クロージングトーク「TARO賞特別賞から現在、そしてその先へ」
原口勉 × 池上恵一(現代美術作家)
2023年10月21日(土) 17:00~18:00
※予約不要・参加無料
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アーティストからのメッセージ
私はキャンベルスープ缶を現代美術で知りました。米国ではメジャーな商品なんだろうな、と今でも考える程度であって、日本の生活の中で「キャンベルスープ」は実際に食べる商品というより圧倒的に美術館で観ているARTなのです。このズレについて日々思案していく過程で、「現代絵画は新しい広告媒体としても存在している」というアイディアが湧き出て来ました。
本展の《新型広告》という作品シリーズは、ロケット、車、ハンバーガー、飲料水、洋服、ロックと、現代グローバル社会に生きる人間世界を俯瞰し、喧伝しています。これは「誰に頼まれてもいない」新しいタイプの広告なのです。 (原口勉)