天皇の書は「宸翰(しんかん)」とよばれ、プライベートなものから、国家の安泰を願うものまで、内容・種類ともじつにバラエティー豊かです。これは一面では、天皇が政治や宗教、あるいは文化などのあらゆる方面において、時代を牽引する存在であったことをしめしています。
したがって、こうした自覚のもとに修めた学問は、それを体現する場において、帝王としての尋常ならざる気品、風格、あるいは内容を備えているため、宸翰は歴史的にも美術的にも多くの人を惹きつけてやみません。まさに、宸翰は「書の王者」であるといっても過言ではないのです。
本展覧会では、奈良時代から昭和時代までの紛うことなき宸翰、および関連作品144件(国宝17件、重要文化財66件、重要美術品11件をふくむ)を厳選し、一堂に展示いたします。