米村優人は、主に彫刻を用いた空間構成をインスタレーション作品として発表してきました。米村は、多くの彫像が持つ男性性を強調するような「強さ」「立派さ」「崇高さ」ではなく、「弱さ」や「失敗」による「不完全さ」に注意を向けていると言います。そこにはごく個人的な物語と、痛みや畏れ、憧れとどうしようもなさなどの様々な感情が内包されています。人体彫刻のパーツは変形されバラバラに配置され、ギリシャ的な彫像が持つ荘厳な一者性は台無しとなり、崇高の念は雲散霧消します。それでも、自作の器具や作業台、身の回りのモノと共に構成されるインスタレーションからは、今の時代のリアリティが確かに伝わってきます。切実さを伴う試行錯誤の上で積み上げてきた米村による実験的な彫刻へのアプローチをご覧ください。
■米村優人(よねむら・ゆうと)
美術家。1996年大阪府生まれ。京都市在住。2019年、京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)美術工芸学科総合造形コース卒業。近年の展覧会等に、屋外彫刻《AGARUMANS (Best Friend)》(グランフロント大阪、2021年)、個展「BARORORM SQUAD 1人でも立ってられるって!」(NEUTRAL、京都、2022年)、子ども向け企画「合体彫人アガルマン シールラリー」(「プレイ!シアター in Summer 2022」ロームシアター京都、2022年)、2人展「NSFS/止め処ないローレライ」(EUKARYOTE、東京、2023年)など。
■「ザ・トライアングル」について
「ザ・トライアングル」は、当館のリニューアルオープンに際して新設された展示スペースです。京都ゆかりの作家を中心に新進作家を育み、当館を訪れる方々が気軽に現代美術に触れる場となることをねらいとしています。ここでは「作家・美術館・鑑賞者」を三角形トライアングルで結び、つながりを深められるよう、スペース名「ザ・トライアングル」を冠した企画展シリーズを開催し、京都から新しい表現を発信していきます。
京都市京セラ美術館では、新進作家の育成という「ザ・トライアングル」の趣旨にご賛同いただいた皆様からのご支援(協賛金、展示資材の提供等)を募集しております。詳細はdev@kyoto-museum.jpまでお問い合わせください。