彼女がつくるモノはいつも異様である。完成したモノが一体何であるか、答えは未だつかみきれていないが、「‘もの’そのものと、それを‘みる’ことの間を探りたい」と語る彼女は、物を「みる」行為を「つくる」ことに変換する過程を楽しんでいるように思う。
今回展示する作品は、透明なメディウムでゼリー状のシートを造り、そこにフィルムカメラで撮影した風景を焼き付けている。写真の内容はいずれもガラス越しに見た風景であり、奥の風景とガラス本体、それに写り込む手前の風景や、表面に付着した水滴が、一枚の風景として像を成している。視覚でとらえたその風景を、大谷は遠近を無視したひとつの物体として現している。大谷自身、説明しきれていない部分は多いが、人というメディアを介して生れ出たものの面白さを感じさせてくれる作品である。