類似色、補色、暖色、寒色。
色相環には様々な関係性が存在している。互いを引き立て合い、時にはぶつかり合う。主人公になったかと思えば、脇役としてサポートに回り、はたまた隣同士で結託して輝くこともある。その作品は何色だろうか。様々な作品を一つの空間に展示することは、紙が色で埋め尽くされていく様に似ている。隣同士はぶつかり合わないか。逆にどちらも目立たなくなっていないか。そうして出来上がる展覧会は一つの「絵」となっていく。
今回の「侵色:開始」では、平面、立体、映像など、多岐にわたるメディアを駆使する京都精華大学 芸術学部所属9名の作家たちが選んだ「色」を色相環に当てはめ、作品の背景や作品同士の関係性を想起できるように構成した。各作家が生み出す作品は、当然、全て同系色ではない。規則性があるわけでもない。個性豊かなそれぞれの「色」と共に、それらの「関係性」にも注目していただきたい。色がそうであるように、作品も他の作品に呼応して我々に様々な一面をみせてくれるのだから。
Terra-Sの空間を侵食していく彼らの「色」と、それらが織り成す「関係性」を感じながら、本展をお楽しみいただけたらと思う。
参加作家:大野真奈、完山花、笹崎凜、武田虹羽、辻大輝、ト シャノン カヤ、松本玲果、森本菜南、山﨑佑介
企画:磨田花朗