京都で結城紬の展覧会を開催します。 この一年に織り上がった結城紬の中でも、これはと思えるものを少しずつ集めてきました。 小さな催しですが、 奥順としては初めての試みとなる展示です。
反物は帯や小物との取り合わせによって成り立ちます。着尺と帯が地と図の関係にあるとすれば、ほとんどの場合、図は帯にあり、着尺は地としてコーディネートの土台となります。土台だけを並べても、見どころをつくるのは難しい。そう考えていましたが、着物という構成のおかげで、結城紬は地にとどまることが許されていると気がつきました。結城紬の本領が地をつくることにあるのは明らかです。
私たちは結城紬の図案を設計し、職人に製織を委ねます。糸づかい、工程に厳密な制約があり、組織としては最も単純な平織のみ。それでも選択肢は膨大にあります。一見すると同じような反物ばかりで、退屈な展示に思われるかもしれませんが、緻密な目で見て頂ければ、すべて異なる設計のもとに作られていることがわかるはずです。