藤田紗衣:仮想ボディに風

ジャンル
  • 美術
形 態
  • 展覧会
藤田紗衣は、ドローイングを起点に、シルクスクリーンやインクジェットプリント、コンピューター画像加工ソフトを用い、版数の限定や地と図の反転、拡大など、自ら設定した制作上のルールに基づくイメージへの多面的なアプローチによって作品を制作しています。近年は、セラミックや書籍など、さまざまなメディアを自由に組み合わせることで、複製技術としての版画技法と一点もののオリジナルのミックスを試みています。

タイトルの「仮想ボディ」とは、活版印刷から写植に移行する過程で生まれた印刷用語です。活版印刷では、金属の表面に活字が彫られ、この活字を囲む四角柱が物理的なボディとして存在していました。その後、コンピューターによりデジタル化され、自由に文字組みができるようになったことで、書体を設計するために存在していたこの基準枠は、実体を持たない「仮想ボディ」と呼ばれるようになりました。

藤田は、現在では物理的には消失した「仮想ボディ」の在り方に着目する一方、基準枠や定められたルールを超え、個人ではコントロールし切れない偶然性や不可抗力、自然現象を「風」に喩え、その間を行き来する自身の制作スタイルを重ね合わせています。

■アーティスト・ステートメント
ある空間にイメージを印刷した紙とセラミックを置いて数週間後に見に行くと、紙は数日前に降っていた雨のせいか、予想以上にフニャフニャになり、印刷されたイメージも紙とともにゆがんでいた。かたや、セラミックは設置した時と全く同じ姿だった。そこには紙は湿気を含んで変化し、焼き固められた陶は変化しなかったというあたりまえの物事が存在していた。これまでは、例えば湿気や重力などの物理的な制約や変化に作品を逆らわせようとしていたが、変わることと変わらないことが交わるその光景が魅力的に見えた気がした。

■藤田紗衣(ふじた・さえ)Fujita Sae
1992年京都府生まれ。2015年ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに交換留学。2017年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画修了。現在、大阪府在住。近年の主な個展に「ハード/ソフト」(I SEE ALL/準備中、2021年)、グループ展に「惑星ザムザ」(小高製本工業株式会社跡地、2022年)、「VOCA展2022」(上野の森美術館、2022年)など。2021年第54回造本装幀コンクール審査員奨励賞受賞。

■「ザ・トライアングル」について
「ザ・トライアングル」は当館のリニューアルオープンに際して新設された展示スペースです。京都ゆかりの作家を中心に新進作家を育み、当館を訪れる方々が気軽に現代美術に触れる場となることをねらいとしています。ここでは「作家・美術館・鑑賞者」を三角形トライアングルで結び、つながりを深められるよう、スペース名「ザ・トライアングル」を冠した企画展シリーズを開催し、京都から新しい表現を発信していきます。

京都市京セラ美術館では、新進作家の育成という「ザ・トライアングル」の趣旨にご賛同いただいた皆様からのご支援(協賛金、展示資材の提供等)を募集しております。詳細はdev@kyoto-museum.jpまでお問い合わせください。

イベント情報

日時
2022年10月8日(土)~ 2023年1月29日(日)
10:00〜18:00
月曜日
※祝日の場合は開館
※12月28日(水)〜2023年1月2日(月)は年末年始のため休館
場所
[左京区]
京都市京セラ美術館 ザ・トライアングル
京都市左京区岡崎円勝寺町124

料金
無料
問合せ先
TEL:075-771-4334
FAX:075-761-0444
※内容は変更になる場合があります。詳細は各イベント主催者にお問い合わせください。
※チケットや申込みが必要なものは、売り切れあるいは定員に達している場合があります。ご了承ください。
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