京都芸術センターでは、経験や実績を積み重ねてきたアーティストを個展形式でとりあげる「FOCUS」の4回目として、伊東宣明の個展「時は戻らない」を開催します。
伊東はこれまで、映像、インスタレーション、そしてパフォーマンス等によって、一貫して「生/死」「精神」「身体」そして「時間」といった、逃れようのない概念に向き合ってきました。作品において、これらのテーマとともに発見されるのは、時間メディアである「映像」への彼の洞察です。
本展では、伊東の旧作や近作、そして現在のすがたを一挙に紹介します。会期中は展示や関連イベントに加え、南ギャラリー内の小部屋を「制作室13」として不定期に公開します。このオープン・スタジオでは、来館者が被写体として伊東の制作に参加することができます。
本展のタイトルにもなっている最新作《時は戻らない》は、逆再生を用いた映像作品です。巻き戻っていく映像を観るとき、私たちは「何も起こらなくなっていく」ことへの驚きと、居心地の悪さを覚えるでしょう。もし仮に「時を戻す」ことができ、取り返しのつかない出来事を取り消せたとしたら、その「時間」はなかったことになるのでしょうか。伊東の作品にみられる、野蛮なようで穏やかで、しかしどこかユーモラスな表現は、対峙する私たちに、私たち自身や、その周囲に流れる、生きている時間の感触をあらためて意識させてくれます。
カメラで撮影された私たちは、やがて映像から離れ、それぞれに生き、その映像は過去のものとなっていきます。しかし時を隔てて、私たちはその映像の前にふと立ち止まることがあるかもしれません。そのとき映像は、撮影されたときとはまた異なるものをうつす「作品」として、私たちの前にあらわれるのかもしれません。本展は伊東宣明の作品と活動を通じて、私たちにとっての「生きて、ともに観る時間」について再考する機会となるでしょう。
|||展覧会|||
2022年5月14日 (土) - 2022年7月18日 (月・祝) 10:00~20:00
※6月8日(水)は臨時休館
※入場無料
出展作家:伊東宣明
||| 関連イベント|||
■アーティストによるギャラリーツアー
アーティスト自身が、本展出展の各作品についてお話します。
日時:2022年5月15日(日)11:30~
集合場所:京都芸術センター エントランス
ナビゲーター:伊東宣明
聞き手:藤村南帆(本展企画補助)
進行:中谷圭佑(京都芸術センター アートコーディネーター)
■アーティストトーク
ゲストを迎え、伊東が制作や作品について語ります。
日時:2022年7月2日(土)15:00~17:00
会場:京都芸術センター フリースペース
登壇:伊東宣明
ゲスト:居原田遥(キュレーター)
進行:谷竜一(京都芸術センター プログラムディレクター)
■『生きている/生きていない』ライブパフォーマンス
伊東の代表作『生きている/生きていない』の「心音に合わせて肉を叩く」パフォーマンスを実施します。
日時:2022年7月18日(月・祝)19:30~20:00
会場:京都芸術センター フリースペース
出演:伊東宣明