虚実入り混じる情報が毎日のように更新され、これまでの意識や価値観を変えざるを得ない状況にある昨今、アーティストは何を考え創作を試みるのか。
「グランドクロス」は新井和洋、大西晃生、片寄優斗、櫻井隆成、せのー、颯廣瀬、水田拓実、宮崎聖也の8名で行う展覧会である。本展の参加作家は、昨年10月に東京・目黒のオルタナティブスペースrusuで行われた「東下」の参加作家で、8名とも京都から東京へと拠点を移し、現在それぞれの領域で精力的に活動している。
本展は当初「東下」の焼き直しとして進めていた企画であったが、めまぐるしく社会が変化していく中で少なからず作家、そして展覧会自体の意識にも変化が生じた。
展覧会タイトルである「グランドクロス」は西洋占星術における言葉で、おひつじ座、おうし座、ふたご座...などいわゆる黄道十二宮において4つの惑星が十字形にならぶ配列を指す。占星術上では、不吉な星の配置を意味しており、例えば1999年に形成されたグランドクロスはノストラダムスの大予言と重なり、天変地異が起こるのではないかという事で話題になった。また、一部にはイエス・キリストの処刑と重ね、グランドクロスを巨大な十字架に見立てる事で、磔になった地球と共に人類が処刑されるという見方もされていた。しかし同時にこれは、キリストと十字架の関係において復活・再生を意味するものというふうにもとれる。
図らずも世界的に変化の年となった2020年。本展では参加作家たち一人ひとりが全く違う(もしくは共通する部分もある)特徴や性質を持つ惑星となり、ひとつの場所で重なる。そこで見えるのはどのような景色か、展覧会という形式を通して提示する。
出品作家:新井和洋、大西晃生、片寄優斗、櫻井隆成、せのー、颯廣瀬、水田拓実、宮崎聖也