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役にも立たない言葉にも必ず出番はあるものだ。
特に鳥の言葉の場合には…。
と、いうわけで、国のひとすみに、悪魔が少年だった頃の話だが、
喋ろうにも言葉がつきてしまったオウム鳥がいた。
(クレオールの民話 29頁より)
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【 作 品 内 容 】
世界には多くの似通った民話が存在しています。お婆さんが助けた鳥から恩返しされる話、子供が物々交換をして大金持ちになる話…。これらの物語は国や地域が違っていても共通のキーワードを持ち、人間の無意識にある世界認識をユーモラスに描き出しています。本作では、植民地主義下で独自の文化を作り上げたカリブ海 マルティニック島の民話集『 クレオールの民話 』と、韓国・朝鮮の民話集『 ネギをうえた人 』をテクストとして使用します。そして、民話と並行して展開されるのは、グローバル化の始まりと言われている1493年のコロンブスの航海の日記を要約した『 コロンブス航海誌 』です。
民話によって描き出される人間の無意識下の世界認識と、コロンブスに始まった、“ 新大陸の発見 ”という西洋から見た世界認識 。 二つの異なった地域の民話と世界の均一化の切っ掛けである航海の日誌が交差し、互いを批評し合いながら、現代を生きる私達の偏狭さへと帆をあげます。
居留守の『鳥を吐き出す。』にどうぞご期待ください。
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