高台寺には、豊臣秀吉とその妻・北政所ねね(出家して高台院)を祀る霊屋(おたまや)と呼ばれる霊廟があります。その内部に掲げられていた三十六歌仙図の扁額は、桃山時代(16世紀後半〜17世紀初め)に狩野派によって描かれました。
長く続いた戦国の世を16世紀末に統一した豊臣秀吉は、都の復興に取り組みました。都の建造物や絵画や工芸品の各分野において、この時代の創造には活気が感じられます。秀吉をはじめ新興勢力の人々が持っていた宮廷文化への強いあこがれが、新たな文化に息吹を加えました。
秀吉亡き後に、その妻・北政所ねね(高台院)が開創した高台寺には、狩野光信と狩野孝信を中心とする狩野派の絵師たちの作品が残りました。
この展覧会では、高台寺伝来の歌仙図三十六面を順次初公開し、蒔絵調度品と共に、桃山文化のあでやかさと雅(みやび)さを紹介いたします。豊臣家ゆかりの貴重な品々を見ることができます。