アンダースロー初の書き下ろし戯曲によるレパートリー。
書いたのはもちろんこの人、松原俊太郎。
作者自身が演劇と出会うきっかけとなったブレヒト作『ファッツァー』をモチーフに空間現代の〈音〉と地点俳優陣による〈声〉の競演、狂おしく!
舞台に登場するのは英霊たち。「やってきた者たち」として戦争と自らの生死について語る彼らは、ときに閉塞感に悩む日本人の現在の姿を彷彿とさせ、さらには波にさらわれた記憶を語るなど、多くの人々の生きていた時間を一身に引き受けた、どこの誰とも特定できない存在です。「生きていても死んでいても同じことだという状態」「支配するものと支配されるものとの関係」からの離脱を試みる彼らの、反復を恐れず、たわむことのない思考は、その場に居合わせた人々になにをもたらすでしょうか。