時計も、スマホも、お気に入りの文庫本もいらない。明日の不安を隠したくて、トランクにガラクタを詰めた。來來尸來が描く、若者たちの逃避行。
【あらすじ】
旅に行くことができない、というのはよく聞くはなしだ。
嘘だとおもう。
行くことはできる。
帰ってくることができない、って言ってるだけだとおもった。
ただ、それだけのことだと理解したから、
わたしたちは、
ダージリン急行で雲を飲む。
イスタンブールで海を旋回する。
シベリア鉄道で銀河を渡って。
香港で赤光の飴をつくる。
断絶しながら根っ子で繋がる4篇のオリエンタル紀行。