演出家・劇作家の太田省吾は、独自の言語観、身体論をもとにした「沈黙劇」を世に問い、後続作家や他ジャンルの芸術家に大きな影響を与えた。近年、彼の作品は、韓国、インドなどでも新演出が試みられ、日本でも若手演出家が上演を行っている。この研究プロジェクトでは、こうした動向を踏まえつつ、幅広い視点から、その演劇的可能性の検証を試みようとする。
2016年度は、京都を拠点に活躍する若手演出家と共同プロジェクトを組む。太田氏自身が立ちあげた京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科の卒業生でもある彼らが、それぞれの視点を通して、太田省吾の台本、及び批評をテキストに実験的舞台を創作。ゲストを交え、そのプロセスに基づいたディスカッションも実施していく。「沈黙劇」に限ることなく、太田省吾の劇言語の演劇観を広く検討の対象として、「未来」の上演について考える。
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【太田省吾(おおた・しょうご)プロフィール】
1939年、中国済南市に生まれる。1970年より1988年まで転形劇場を主宰。
1978年『小町風伝』で岸田國士戯曲賞を受賞。1960年代という喧騒の時代に演劇活動を開始しながら、一切の台詞を排除した「沈黙劇」という独自のスタイルを確立する。代表作『水の駅』は沈黙劇三部作と称され、現在でも世界各地で作品が上演されている。また、『飛翔と懸垂』(1975年)、『裸形の劇場』(1980年)など、数々の演出論、エッセイを著している。
転形劇場の解散後は、藤沢市湘南台文化センター市民シアター芸術監督、近畿大学文芸学部芸術学科教授を経て、2000年の京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科開設や、続く2001年の同学舞台芸術研究センターの開設に深く関わり、日本現代演劇の環境整備に力を注いだ。2007年、67歳で逝去。
≪劇場実験≫
日時:2017年2月18日(土)13:00(受付開始は30分前)
※劇場実験は約4時間を予定(休憩含む)
※劇場実験終了後、演出家・研究者によるトークを予定
会場:京都芸術劇場 studio21(京都造形芸術大学内)
料金:1000円(予約優先制)
席数:80席
演出:相模友士郎 村川拓也 和田ながら
【研究会 参加者】
研究代表者:森山直人
共同研究者:山田せつ子 相模友士郎 村川拓也 和田ながら
研究協力者:八角聡仁 新里直之 長澤慶太
※本研究会、劇場実験は、京都造形芸術大学・舞台芸術研究センターが母体となり、文部科学省「共同利用共同研究拠点」の認定を受けて2013年度に設置された研究拠点「舞台芸術の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点」のプロジェクトの一環として行われます。
公式ウェブサイト:http://www.k-pac.org/kyoten/
京都芸術センター制作支援事業