良いことが起きるよう願うのは時代や地域を超えて、人類の共通する思いです。
アジアの人々は古代より器物の形や文様の形を借りて、豊穣、子孫繁栄、立身出世、富貴栄華、不老長寿など現世におけるさまざまな願いを表しました。これらは吉祥図と呼ばれ、繰り返し用いられてきました。さらに人々は、めでたい言葉が幸福を招くとも考えました。「寿(ことほ)ぎ」とは、言葉で祝うという意味の日本語です。
暮らしの中で人々は神仏を拝して日々の吉祥と難からの救済を祈り、自らの身の回りの品々に吉祥文様を付け、福を招き、災難を防ごうと願ってきました。
日本には数多くの吉祥図があり、生活のなかに浸透しています。高台寺に伝来した品々には、狩野派によって描かれた梅に草花図屏風や蓬莱蒔絵薬箱など、人々が難からの救済を祈り、吉祥を願った品々が多数伝来しました。北政所をはじめ高台寺に関わった人々の願いや祈りを知ることができます。
新年にあたり今回の展示では、それら高台寺伝来の絵画、工芸品、消息(手紙)、書などを紹介いたします。