室町時代初期、能面は10数種類しかありませんでした。「顔の細き尉の面」などと形容されるに過ぎない面も多くあったようです。それが約180年後の室町時代末期には60種類ほどに増えています。この時代に、能面の基本型が出来たといわれています。その後、江戸時代に能が幕府式楽となり、能面の需要が飛躍的に増加し、世襲制の面打家ができるなどして、大量に作られてゆきました。その過程の中で様式化され、「写し」も数多く作られます。また、類型の細分化も進み様々な面が創作され、種類が大きく増加し、今日では約250種類の能面が伝えられています。
今回の展示では、能面師大月光勲氏の所蔵の古能面数点と、自身の近代能面を展示して、能面の 「幽玄の世界」をご覧いただきます。また、昨年末のパリ個展に出品された創作面を展示し、能面の未来のあり方に思いをめぐらせていただければと思います。