清田泰寛と神馬啓佑、ともに1985年に生まれ京都市内の芸術系大学を卒業後、京都で活動をつづける二人の画家の実践は、「なぜいま絵画なのか」という問いに応答する。両者は、言葉/概念が画家に与える印象、あるいは日常的に用いている品への愛着といった極私的な感覚を導きの糸として、絵を立ち上げていく。絵を描く時間の中で二人の身体感覚は織り込まれ、作品は「絵画にしかできないもの」として練り上げられていく。
本展では、そのような二人の絵画を形容するために「肉とヴェール」という言葉を用いる。
肉。先に「身体感覚」という言葉を用いたが、実は両者の作品の要にあるのは、身体といった客体的なものではない。画家の内側にねっとりと結びつき、画家自身を形づくっているような、すなわちそれは、肉と呼ぶにふさわしいものだ。
ヴェール。肉は、そのまま提示されるのではない。画家の内側にあったものは、絵画が描かれる時間の中でキャンバスの上に積み重なるか、あるいは透明な表面の奥に置かれる。肉自体がヴェールとなって折り重なる、あるいは肉にヴェールがかかる。
このようにして両者の作品は絵画として成り立つ。