KUNST ARZTでは、VvK(アーティストキュレーション)の17回目として、岡本光博キュレーションによる「フクシマ美術」展を開催します。
「フクシマ」という”カタナカ表記”(注1)は、地名にとどまらず、「ヒロシマ」「ナガサキ」同様、被爆地として、“負”の意味を背負おうとしています。この5年前の出来事を、まだ“負”と決めつけさせない何かがあると信じたいのです。
当企画の大きな原動力となったChim↑Pomの怪作、津波によって深い地層に閉じ込められていた種が開花したミズアオイ(万葉集では求愛の歌として詠まれた)を象徴的に用いる吉田重信、我々が“呼吸する”大地の上に生活することを地質学者らの協力を得て突きつける井上明彦、主婦/コレクターという視点から“雑巾”に怒りや願いを込めた田中恒子、無許可で公共の道路にチョークで線引きすることによって社会的な“線引き”を問うやなせあんり、そして私、岡本光博を含めた7組のアーティスト(注2)の作品を通して、その可能性を探ります。
注1・・・”カタカナ表記”とは、海外において日本語のままで通用するという意味を含みます。
注2・・・田中恒子は主婦/コレクターであり、アーティストという意識はお持ちではありませんが、そのことが逆により鋭い作品となって立ち現れています。
岡本光博(本展キュレーション / KUNSTARZT主宰)
アーティスト:井上明彦,岡本光博,田中恒子,Chim↑Pom,やなせあんり,吉田重信