本展では、『紫、絵画。Purple, The Picture』のタイトルが表すように、渡邉の近作にたびたび用いられる色彩「紫/パープル」が、取り上げられています。紫は、赤と青の両極の色が混ざり合ってできることから、色の中間に位置しています。色味も多様であり、赤や青がそれぞれ持つ特定の性質のようなものがなく、観る人が感じる心理的イメージも様々です。「紫/パープル」は、色の世界における「対比における共存」を私たちに知覚させ、同時に知覚していないことも表しています。このような「紫/パープル」の性質を通じ、渡邉は絵画が単に観るものではなく、経験し知覚するものであることを明らかにします。