作品と向き合う時、いつから私たちは答えを求め、手がかりを探し続けるようになったのだろう。いっそ、それらを全て盗んでしまおうか。この展覧会「Stolen Names」では、作品に関わるおよそ全ての情報(あるいは手がかり)が盗まれた状態にある。 ここでは、誰の作品であっても、どのような形態の作品であっても、名前を失くしたまま、ただ「作品」として会場に混在することになる。作者名も、タイトルも、なにもかもが無いままに。それは、まるで蟻の巣の入口のように、一見すると孤立したいくつもの穴が地面に点在しているだけのように見えることだろう。しかし、地中深くでは、それらの穴は複雑に繋がり、絡みあっている。名前の無い個々の作品もまた、ひとつの表面からは見えない場所で呼応し合い、時間をかけて関係し合い、繋がっているはずだ。
盗まれた名前。名前を失くした作品が問いとなるその時、私たちは、ただ立ちすくんでしまうのか。それとも、盗まれた名前を取り戻そうとするのだろうか。あるいは、まったく新しい名前を発見するだろうか。作品を観るとはどういうことだろうか。作品が発信してくるものは何か。手がかりのない状態で、私たちが探すべきものは答えではなく、芸術の可能性と新しい問い、いつのまにか誰かに盗まれてしまった名前である。
主催:予言と矛盾のアクロバット実行委員会
共催:京都芸術センター
助成:京都府文化力チャレンジ
予言と矛盾のアクロバット実行委員会について
「予言と矛盾のアクロバット」は2013年9月から始まった、アートを通じて予言的なものと向き合い、想像しがたい未来に対して仮説的に備える方法を実験していくためのプラットフォームです。それは、こうあってほしい未来を描くことではなく、むしろ、そうならないための第一歩を創造してみること。映画や小説等に見られる人類の終焉・破局的な未来を、現実に起こり得る可能性のあるものとして捉え直すこと。成就における祈願のちからを嘲笑しないこと。そうした「矛盾」と「直感」を大切にしていくような実験を、様々なかたちで実施しています。