APP ARTS STUDIO vol.10 かみこに学ぶ
APP ARTS STUDIOは、applied arts(応用芸術)としての「工芸」を作り手の視点から読み解くことを目的としたプロジェクトです。今回は、「かみこ(紙衣)」に焦点をあてたプログラムを開催します。紙衣とは和紙に蒟蒻糊を塗り、乾かした後、もみ込んで布のように柔らかくしたもの、またそれを衣服に仕立てたもののことを指します。奈良 東大寺 お水取りの衣装としても知られる紙衣は、平安時代の僧侶・性空の草庵生活から始まり、出家僧の物的欲望の放下のための衣服として着られていました。後には戦国武将の陣羽織として、また江戸時代には遊女を中心におしゃれ着として時代の流れと共に様々な着用のされ方をしてきました。そのように機能性(軽さと保温効果)と装飾性によって武士から庶民まで重宝されてきました。そして紙衣の根本にある物的貧しさは次第に「わび」と繋がり、精神的な豊かさを象徴する衣服となっていきます。このように紙衣は、簡素さと豪華さ、貧しさと精神的豊かさといった一見対照的な内容を含んだ希有な衣服であり素材です。本プログラムでは、かみこのクラッチバック制作を通して、現代における紙衣の魅力を学びます。