今村幸生(1935 - )は三重県伊勢市生まれ、フランス在住の美術家です。16歳から本格的に油絵を描き始め、独立展において27歳の若さで30周年記念独立賞を受賞、強烈でエロティックな表現力が評価されました。その後も、立体表現やライブペインティング、パフォーマンスイベントなどユニークな表現活動で注目を集めます。
1977年、国内での活動に違和感を感じ、日本での評価をすべて捨て、同時代の美術家たちのいるフランスへと活動の場を移します。無名の異邦人として、現在に至るまでの35年間、留まることなく全速力で挑戦し続け、確固たる評価と実績を築きあげました。
今村の制作は、独特の強い色彩を用いてキャンバスに即興的に筆を走らせる所から始まります。混沌とした画面がやがて形態となって増殖していき、次々と物語を形成していきます。
リビドーとは、ラテン語で強い「欲望」を意味する言葉です。無意識の奥底に横たわる根源的な欲求をさらけだした作品は、狂気を孕みながら、時に生めかしく鑑賞者に迫ってきます。
本展覧会では、フランスと日本で10年に渡り制作された多くの大作や、建仁寺・禅居庵にて滞在制作した六曲一双屏風などから厳選した約60点の作品を展覧いたします。また、会期中には、関連イベントといたしまして、作家が来日しサイン会やギャラリートークを行います。