襖。空間を区切るため、鴨居と敷居の間に立てる、可動式の戸。しかし襖は、ただ仕切りとしてだけでなく、その表に絵を描くことで、部屋を装飾する役割を果たします。
生活感の希薄な、ホワイトキューブのような家がもてはやされる今。和室が減っていくと共に、襖絵の文化、家の一部として絵画をはめ込む、という文化は、ほとんど失われました。
もう、昔の形に戻ることはできないでしょう。
それが良いかどうかも分かりません。
ただ、博物館のガラス越しや、寺の柵の向こうに見える襖絵ではなく、生活の中に、家の一部として絵の存在すること。
この体験は、「今」に何かを生むかも知れない。
顕微鏡を覗いたような、ぞわぞわうごめくフクシマさんの絵に囲まれた6畳の座敷に座し、一盞の茶を喫したとき、一体何を感じるのでしょうか。是非、五感で触れにいらして下さい。