上演の為に仕組まれた台本に、
従い集う者/従わず集わない者たちのための演劇
結婚式の招待状が届くと紙面に「ご出席/ご欠席」の文字が必ずある。招待状が届いている時点で親しい人の結婚式であるから、ほとんどの場合「ご出席」に丸をするのだけれど、予定が空いているにも関わらず「ご欠席」に丸をするとすれば、これはどういう事だろうと考えることがある。ここでの選択はどちらを選ぶにしても主体的な選択であるはずだが、同時に非主体的な選択でしかないとも言えるのではないか。それは結婚式制度の何らかの強制によって、選ばされる選択であるということだ。この非主体的な選択(従属的な選択)は日々至るところに仕組まれていて、人を動かし続けている。ひょっとすると我々は「生きている」のではなく「生かされている」のではないか、なんて事も少し無理をすれば信じる事ができるかもしれない。この作品は上演の為に仕組まれた台本を用いて、それに従い集う者/それに従わず集わない者たちの演劇である。