■プレビュー:吉田モモコフ
どうして他人のプライベートな思い出を見せられなければならないのか。
この展示は生誕一万日という節目に際して、作家が「自分はナニモノか」を問い、自分と世界との、自分と他人との接合点を探るためのものである。
特定の時間と特定の場所を生きてきた痕跡は、結局、自分というものがイマココにあるユニークなものでしかアリエなかったという事実を照らし出す。
それは誰にとっても逃れられようのない痛みであり、また守り通すべき愛しさでもあるはずだ。
思えば「一年」ではなく「一日」という単位で人生を眺め返すなんてなかなかない。
朝起きて、ごはんを食べて、学校にいって、夜になったら眠る。
晴れの日もあれば雨の日もあり、平凡な日もあり特別な日もあった。
生まれてからそんな「一日」を一万回も繰り返して来て、そのことに馴れることも飽きることもないのだろう——
素朴で身近な楽しみを見逃さない彼女の「一日」の集積を、覗いてみてもいいかもしれない。