パゾリーニの旅、いよいよ最終地へ…
劇作家・演出家の川村毅がニューヨークの古本屋で偶然手にした“パゾリーニ戯曲集”。
2003年、そこに収められた全6作品のうち『オルジァ』をリーディング公演として上演したことをキッカケに、その他の全5作品を日本で初翻訳、初上演に挑戦してきた川村毅のパゾリーニとの旅は、この京都での『ピュラデス』のリーディング公演でついに終着地へと辿りつきます。
なぜ恥と不確かさを恐れる?
あなたが呪われますように、〈理性〉よ、
そしてあらゆるあなたの神が、すべての神が呪われますように…
パゾリーニが、アイスキュロス作ギリシャ悲劇『オレステイア』をもとに、60-70年代にかけてのイタリアを映して描いた作品。1960年には『オレステイア』の上演用にイタリア語新訳も手掛けている。戯曲はまさにギリシャ悲劇のかたちで書かれており、母殺しで追放されたオレステスがアルゴスに戻ってくるところから始まる。
あらすじ
オレステスは、従兄弟のピュラデスに激励され、愛人と共に父王・アガネムノンを殺害した母・クリュタイメストラを殺害し、放浪の旅に出ていた。再び、アルゴスの地に戻ったオレステスは、姉・エレクトラと対面する。女神アテナはオレステスを許し、彼を使って民主的・リベラルな世界を実現しようとするが、ピュラデスは、理性の女神アテナを信奉しながらも、「非理性」の力をオレステスのように否定することができない。アルゴスの市民は裁判でピュラデスを追放し、ピュラデスはかつて復讐の女神・エリュニスでいまは慈しみの女神となったエウメニデスを探して山に入る…