■□ 『少年王マヨワ』 作品紹介 □■
日本がまだ若かった頃のお話。
大きな丘を切り開いて作られた団地。そこに沢山の家族が住んでいる。
周囲には森の残骸があちこちに残っており、そこからイタチやキツネが
道路を横切って走り抜け、運の悪いものはトラックに跳ね飛ばされていた。
その死骸のすぐそばに黒い影があらわれる。
影は手にした棒でイタチの死骸をひっかけた。
丘までそれを引いて埋めるのだという。
団地の人々で、彼の姿を見たものはまだいない。
2004年『ヒラカタ・ノート』(第12回OMS 戯曲賞特別賞受賞)、
2011年『ピラカタ・ノート』(2年間に全国6会場で上演)に続く
実在の町「ヒラカタ」をモデルにして描くシリーズ第三弾は、
子供たちの視点からヒラカタを描きます。
荒廃と再生の物語。
--------------------------------
■□ ひとくちメモ「 マヨワ」とは? □■
「マヨワ」とは『古事記』に登場する少年王の名前だ。
『古事記』では「目弱」と漢字をあてている。
彼は大王の一族として生まれたが、
実父をアナホ(安康天皇)に殺され母もその妻にされてしまう。
マヨワはそのことを知らなかったが、あるいきさつから真実を知り、
夜中に太刀をとりアナホを殺害してしまう。
大王殺害という大罪を犯した彼は、時の大臣ツブラノオホミの屋敷に逃げ込むが、
アナホの弟に攻められ、忠臣ツブラノオホミとともにこの世を去る。
この時わずか7歳程だったという。