極彩色で描かれた細密画のような作品で、人々を魅了する金谷裕子。本展では、ペインティングやドローイングなどを中心とした作品を発表します。
金谷は、自身の考えをやわらかくすることを大切に感じ、日々を過ごしています。たとえば、いつも一緒にいる友人に話す言葉と、海外で知らない人に道を尋ねる際に使う言葉やコミュニケーションそのものが違うように、この世界には、いろんな次元のレイヤーが存在します。外国語のように確かに存在するものや、子どもが信じる妖精・あるいは天国・第六感といったような、不確かだけど存在しないとも証明がつかないもの……。その存在の確からしさにかかわらず、未知の世界とも言える無数のレイヤーが、私たちの日常には隣り合わせています。 その未知の世界とどうやってコミュニケーションを取るかを、心豊かに想像することで、自身の日々の考えもやわらかくなるかもしれない、金谷はそう思いを馳せます。
タイトルにある「魔法陣」は、異世界とコンタクトを取るための入り口でもあり、日常との境界線とも言えます。絵や音楽などの表現は、出会った瞬間に違う世界に引きずり込まれる感覚を覚え、まるで魔法陣のようであると言えるかもしれません。
私たちも、魔法陣のような何かと出会うことで、普段使わない感覚(もしくはその存在すら忘れてしまった感覚)をすこし広げ、日常に無限にひそむ未知の世界の存在に触れることができるかもしれません。金谷も、自身の作品が、魔法陣のように誰かの感覚を広げるものであったら、と語ります。カラフルで多幸感に溢れる金谷の作品がギャラリーに並び、まるで魔法陣の中にいるかのような感覚を味わうことができる本展を、ぜひこの機会にご鑑賞ください。
オープニング・レセプション
日時:4月26日(金) 19:00〜21:00