浦郷仁子は大阪からLondonに渡り、ロンドン大学スレード芸術大学大学院 芸術学部絵画科 修士課程を修了。南アフリカなどのレジデンスも経験し、日本に戻りました。
彼女のペインティングには、幾何学的な抽象に加え、美しい女性が登場します。彼女は幼少からピアノを始めました。その経験からでしょうか、音楽からのイマジネーションが抽象を紡ぎ出し、具象の世界を導き出します。 しかし彼女にとって具象と抽象は質の違いではなく、同じ曲でも雰囲気ががらりと変わってしまう、長調と短調のようなものかもしれません。浦郷自身が語るように、二つとも自身のポートレートであるとの言葉からもそのことが伺えます。
浦郷はまたスーパーモデルなどのメーキャップをしていました。
国内外の女性の顔に触れた数々の経験、研究とも呼んでいい女性性の探求は、彼女のペインティングに多大なる影響を与えてるのではないでしょうか。浦郷のペインティングからは塑像の要素が潜んでいるような印象を受けます。メーキャップという顔をつくっていくなかで育まれたタッチはARTから学んだものとの組合せによる独自の技法となり、我々を強く引きつけます。
浦郷の作品は具象、抽象、または具象と抽象二枚組の作品として展示され、すばらしいハーモニーを聴かせてくれることでしょう。