美術センターの前身ともいえる大阪美術学校が1924年に大阪市天王寺悲田院町に創立して100年。その大きな節目の今年はこれからの100年に向けた転換点でもあります。現代アート企画展「アトリエ美術館」は、市民とアーティストがともに「つくること」を通じて、造形思想に触れ、アーティストと交流することを目的に毎年開催しています。
28回目となる本展は、11人の若者たちからなるアートコレクティブ「スローイング・スパゲッティ」を迎えました。戦前から終戦直前にかけて、次代を担う若者たちが学んだ記憶が残るかつての“美術学校”を舞台に、令和の若者たちが市民を巻き込みつつ、ワークショップとパフォーマンスによる作品《シャドーイング・サークル》を繰り広げます。これからを担う新世代によるアートをぜひ体感してください。
■会期:2024年11月23日(土) -12月22日(日)
月-土 9:00~21:00
日・祝 9:00~17:00
■入場料:無料
■会場:1Fギャラリースペース
【関連イベント】
workshop&performance シャドーイング・サークル
《シャドーイング・サークル》は、ワークショップとパフォーマンスによる作品です。
ワークショップの参加者によりなされた会話が、そのまま当日のパフォーマンスに反映されます。会場に設置した御殿山生涯学習美術センターの模型を舞台装置とし、スローイング・スパゲッティが会話の再演をいたします。
その際、セリフを覚え演技するのでなく、シャドーイング(音声を聞いた後、即座に追いかけて復唱する方法。)により行います。
■参加費:無料
■申込受付:お電話または窓口にて受付。(先着順、空きがあれば当日参加可)、
■開催日:会期中(2024年11月23日(土) -12月22日(日))の毎週金・土曜日、12月22日(日) ※11月23日(土)と12月22日(日)は午前の部のみ開催
・午後の部
10:00~11:30 ワークショップ
12:00~13:00 パフォーマンス
・午後の部
15:00~16:30 ワークショップ
17:00~18:00 パフォーマンス
■会場:1Fギャラリースペース
【artist talk アーティストトーク】
遠藤水城 × スローイング・スパゲッティ
展覧会の解説や振返りを、聞き手として遠藤水城さんをお迎えして行います。
■開催日:12月8日(日)15:00~16:30
■会場:1Fギャラリースペース
遠藤水城 ENDO Mizuki
1975 年札幌生まれ。京都市在住。キュレーター。
2004年、九州大学比較社会文化研究学府博士後期課程満期退学。art space tetra (2004/福岡)、Future Prospects Art Space (2005/マニラ)、遊戯室 (2007/水戸)などのアートスペースの設立に携わる。 2004-05年、日本財団APIフェローとしてフィリピンおよびインドネシアに滞在。05年、若手キュレーターに贈られる国際賞「Lorenzo Bonaldi Art Prize」を受賞。「Singapore Biennale 2006」ネットワーキング・キュレーター。2007年、Asian Cultural Councilフェローとして米国に滞在。同年より2010年までARCUS Projectディレクターを務める。2011年より「東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス」エグゼクティブディレクター。2017年、ヴェトナムはハノイに新しく設立されたVincom Center for Contemporary Artの芸術監督に就任。国際美術評論家連盟会員。京都造形芸術大学客員教授。
【街中アート】
会期中、御殿山渚商店会の加盟店に、本企画と関連する作品を展示いたします。
ぜひご覧ください。
■協力:御殿山渚商店会
【アートコレクティブ】
スローイング・スパゲッティ throwing spaghetti
話し合いの場を築きあげる取り組みとして2023年に京都で発足し、展覧会などの企画を通して話し合いの場の発展、継続を目的に活動している同世代のアーティストの集まり。
スパゲッティを茹でる際の手で捻ってから鍋に投げ入れる動作。試行錯誤すること。略称スロスパ。
https://www.instagram.com/throwing__spaghetti
■主な展覧会
「スローイング・スパゲッティ at vox ビル」(2023年/京都)
「スローイング・スパゲッティ at HAPS HOUSE」(2024年/京都)
■メンバー
伊藤真生 Ito Mao
1998年熊本県生まれ。京都市立芸術大学大学院修士課程 美術研究科彫刻専攻在籍。物体や状況の模倣からその本質を探る。近年は発話やコミュニケーションを模擬した作品を制作している。主な展覧会に、「Campus Artist in Residence 2022」(筑波大学総合交流会館、茨城、2022)、「悪魔の子供」(room_412、東京、2022)、「サーフィン(ここにあるビーフン)」(千鳥文化ほか、大阪、2022)、「リロケーションまで 引っ越し・ボウルの中のアイス」(下京いきいき市民活動センター、京都、2023)など。
梅岡隼人 UMEOKA Hayato
2000年京都府生まれ。京都芸術大学情報デザイン学科在籍。デザイナー。生成的な音景や空間の物音、ログとして行うフィールドレコーディングを起点に、生成的な音景や空間の物音から想起する観念を通した平面構成/デザインを扱ったパフォーマンスを匿名的に行う。
大澤一太 OSAWA Itsuhiro
1999年埼玉県生まれ。2022年京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)美術工芸学科写真・映像コース卒業。現在は京都芸術大学大学院修士課程美術工芸領域映像メディア専攻在籍。自らが経験した出来事、また他者との関わりの中での、ある場面における特定の状況からの視点をモチーフに、映像、写真、サウンド、既製品を用いて、ある状況を省みるように制作を行う。主な展覧会に、個展「花火が打ち上がること、うp すること、それは些細な一事」(engawa KYOTO、京都、2022) 、二人展「フーリガン(位置について)」(ギャルリ・オーブ、京都、2023) 、「P.O.N.D.2023 Dialogue/あたらしい対話に、出会う。」(PARCO MUSEUM TOKYO、東京、2023)、「アトランティック・タッチ」(BOOTLEG gallery 、東京、2023)などがある。
沖野颯冴 OKINO Sousa
1999年兵庫県生まれ。京都府在住。2022年京都芸術大学美術工芸学科写真・映像コース卒業。個と様々な関係性を思考する為のコミュニケーションのあり方を探る試みとして映像作品やパフォーマンスを用いて制作している。
高橋順平 TAKAHASHI Junpei
1999 年新潟県生まれ。京都芸術大学大学院修士課程美術工芸領域映像メディア専攻在籍。身体の物質/非物質化の感覚に基づき、セルフポートレートや植物などをモチーフにして、個人的身体感覚を共有可能にするための装置としてのインスタレーションを制作する。主な展覧会に、「ウサギ・ハチドリ・ホムンクルス〜新しい地平の作り方〜」(MEDIA SHOP gallery、京都、2023)、「KUA ANNUAL 2022」(東京都美術館、東京、2022)、「GEM PROJECT」(旧区役所解体現場、大阪、2021)などがある。
田村久留美 TAMURA Kurumi
2000年香川県生まれ。秋田公立美術大学美術学部美術学科アーツ&ルーツ専攻卒業。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻在籍。人と人やモノなんかの総合的な関わりの中で起こるロマンスをいつだって期待している。あたしのために優しくて愉快な革命にゆるやかに巻き込まれてください。など。主な展覧会に、「やにょとたみっめもぽぁ」(アトリオン、秋田、2021)、「曖昧模糊 模糊茫洋茫洋」(オンライン開催、2021)、「サーフィン(ここにあるビーフン)」(千鳥文化ほか、大阪、2022)、「パ」(京都市立芸術大学内小ギャラリー、京都、2023)、「路地裏の舞台にようこそ2023」(西成の路上、大阪、2023)、「思可牟展」(高松市立塩江美術館、香川、2023)など。その他いろんなゲリライベントやコレクティブに加担している。
中井梓太郎 NAKAI Shintaro
2000年京都府生まれ。京都芸術大学美術工芸学科総合造形コース卒業。重なること、繋がること、反復すること、それらのレイヤーを一つの風景として捉え、制作を行なっている。主な展覧会に「京都芸術大学卒業展」(京都芸術大学、京都、2022)、「ART drops」(spinniNG MiLL、大阪、2021)、「白日自明」(ギャラリーマロニエ、京都、2021)などがある。
船越晴稀 FUNAKOSHI Harue
1999年静岡県生まれ。京都芸術大学大学院グローバルゼミ在籍。展示場所の窓から見える公園でバッティング練習をしていた少年のために、ホームランターゲットを室内の壁に設置したり、桜の木の下にまんじゅうを置き、その上に桜の花弁が乗るのを待ったりなど、自身の日常と他者や他種の日常を重ね合わせ、その場のコンテクストをつくりかえることで制作を行っている。その場があくまで日常であることを維持するために、専門的な技術での加工を行わず、日用品を用いたミニマルなジェスチャーを一時的に行う。作品を事前に準備することはほとんどなく、搬入期間やそこでの生活の中で遭遇したランダムな状況によって経験した些細な出来事を延長し、それに付随する不備や包摂への抵抗などを扱う。主な展覧会に、個展「トラヴェルス・アドヴェンチュア」(山中suplexの別棟「MINE」、大阪、2023)、二人展「フーリガン(位置について)」(ギャルリ・オーブ、京都、2023)などがある。
humu (ふむ)
2000年兵庫県生まれ。成安造形大学美術領域現代アートコース卒業。空間認知や時間感覚、身体感覚を刺激する奇妙な記憶を出発点としながら、普遍的な人間の知覚を探っている。主な展示に「ベツレヘムの星を触る」(成安造形大学 キャンパスが美術館ギャラリーキューブ、滋賀、2022)、「salad bowl」(堀川御池ギャラリーA・B・C、京都、2021)、「ホワイトアウトダイアリー」(成安造形大学美術領域展示室、滋賀、2021)などがある。
峰松沙矢 MINEMASTU Saya
2000年大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻在籍。他者との関係から自己を保つことを探り、絵を描くことと移されるイメージを通して、絵を描く意識と座標の徴を往来する制作をしている。主な展覧会に「東九条芸術祭」(コミュニティカフェほっこり/京都市地域・他文化交流ネットワークセンター、京都、2023)、「tiny moon, tiny sea」(gallery metabo、京都、2023)、「トゥルービヨン21 part1」(Oギャラリーeyes、大阪、2023)、「展示力合宿! inかなざわ」(金沢市民芸術村、石川、2023)、「はなあなたもたれるはな」(MEDIA SHOP gallery2、京都、2022)、「体内で満ちて」(ART SPACE NUI、京都、2021)、「包まれた触れ幅」(四谷未確認スタジオ、東京、2021)などがある。
吉田コム YOSHIDA Komu
2000年大阪府生まれ。2022年京都芸術大学美術工芸学科総合造形コース卒業。何かの制度や仕組み、都市の構造、あるいは展覧会場の中に少しの仕掛け施し、現実を密やかに脱臼させるような振る舞いへ誘い込む装置として作品を制作している。主な展覧会に「反転するネットワーク」(MEDEL GALLERY SHU、東京、2023)、個展「House Aʼ」(Alternative Space yuge、京都、2022)、「KUA ANNUAL2022『in Cm | ゴースト、迷宮、そして多元宇宙』」(東京都美術館、東京、2022)、「写真は変成する MUTANT(S) on POST PHOTOGRAPHY」(ギャルリ・オーブ、京都、2021)などがある。