KUNST ARZT では、中桐聡美の個展を開催します。
中桐聡美は、傷つける、着色するといった行為を通して、シルクスクリーンによる単一な海のイメージを変容させ、「移ろい」を引き出すアーティストです。
作家にとって馴染み深い瀬戸内海の海のイメージをシルクスクリーンで刷った後、カッターナイフで傷つけることで、水しぶきのようにインクに染まっていない内部の白い紙の層が立ち現われたり、また一方ではインクを滲ませることでその水しぶきがおさまり、静寂さを取り戻したり、あるいは強い風が吹きつけているようなイメージにも見えます。
版画表現としても、水の表現としても強いオリジナリティーを確立しています。
(KUNST ARZT 岡本光博)