土方巽の伝説的舞踏作品『疱瘡譚』の初演より50年。映像とトークによる2日間の「巽漬け」で、『疱瘡譚』を味わいつくします。
50年前の10月の新宿で、土方巽(※)が、『疱瘡譚』という作品を発表しました。舞台上には、茫々頭でガリガリにやせ細り、皮膚がボロボロと剥がれ落ちているかのような異様な風体の男。彼のからだは折れ曲がり、麻痺したように縮こまり、痙攣します。
そんな彼の身体表現は、それから半世紀ものあいだずっと、「舞踏」の最高傑作として、魔法のような幻惑とともに、わたしたちを魅了しつづけてきました。
あまりにも有名なダンス作品『疱瘡譚』を、いまあらためてじっくりと鑑賞してみませんか。上映する映像は、土方巽の舞台を完全に記録した唯一の資料でもあります。そして京都は、西部講堂(京都大学)で3度の舞踏公演を行うなど、土方巽がことのほか好んだ街でしたが、京都での『疱瘡譚』全編公開は過去20年で初めてです。これに加え、今回はこれまで未公開だった秘蔵映像も上映します。
何がこの作品を傑作たらしめているのでしょう?どうして彼の「立てない踊り、立たない踊り」に、50年もの間、わたしたちはとらわれているのでしょうか?
今回の上映会にあたっては、1972年の『疱瘡譚』の公演とともに土方巽の舞踏公演の制作に携わり、その後、土方巽の舞踏資料の保存・収集・公開にあたってきた森下隆とともに、『疱瘡譚』を解剖しつくします。
※巽の「己」は「巳」
協力:土方巽アスベスト館、NPO法人舞踏創造資源、小野塚誠(写真提供)