参与観察…研究対象である社会や集団に調査者自身が加わり、生活をともにしながら観察を行い一次資料を収集すること。文化人類学などにおける異文化社会の研究方法。本展では、作家が制作を行うにあたり、自身と不可分である生活空間の中から題材を収集するさまを参与観察に見立てている。
規則、道徳、習わしといった有形無形の社会構造が表出する我々の生活空間。本展ではこれを路上観察学の系譜に準え「路上」と定義している。2020年の第1回「参与観察」展では、“コロナ・ブーム”の中、拙速な介入により急激に変容させられた「路上」を今一度俯瞰するべく「参与観察」を行った。それを踏まえ「参与観察2」では、「路上」に立つ我々自身に今一度フォーカスを当て、作家の内的な興味・関心の移り変わりを「参与観察」して展示に反映させることを目標とした。
展覧会を開催するにあたって、作家の私的な興味や関心の原点、作家としての自覚が芽生えるまでの背景、ターニングポイントとなった作品を探るべく作家同士で互いにインタビューを実施した。展示の構成はこれらのインタビューを踏まえて設計されており、絵画、立体、音楽、音響といった一見すると関連の薄いジャンルの作品を鑑賞する際の補助線となるだろう。
参加作家:
おおしまたくろう、まきのみつる、内原和之、放蕩息子、白戸辰弥、塚本悠斗、望月亮