澤田は日常で中で、不確かなノイズとして認識してしまうものをエラーとして排除するのではなく、「不確かである」ことを起点として、分析・検証・解釈・想像の一連を作品として提示し、鑑賞者にそのプロセスを反芻させるかのような作品を展開しています。澤田の代表的なシリーズ「Gesture of Rally(ラリーの身振り)」は「かつて、どこかに実際に存在したものが写ってしまう」という写真の特性を前提に、写真(印刷物)に写った不明瞭な「何か」を「実際に在ったもの」として捉え、そこに「これは何か」という問いを発生させています。この問いの答えはSiriやwebによる検索、想像図の作成、果ては立体化などによって探求されますが、しかしその「正解のない誤読」が答えにたどり着くことはなく、「これは何か」という問いは、「では、これは何か」という問いに戻されてしまいます。