ノルウェーの北端にあるスヴァールバル諸島で撮影された映像作品『The People That Is Missing (El Pueblo Que Falta)』は、気候変動が最も顕著な北極という世界で最も厳しい状況下にある場所から、現代における喫緊の問題を取り上げることを目的とする。
この映像作品は、アレクサンダー・フォン・フンボルトからジェームズ・ラブロック、ドナルド・トランプやブリュノ・ラトゥールといった多数の思想家や政治家たちの、しばしば矛盾した言説の引用からなる詩を映像にしたものである。タイトルの『The People That Is Missing』は20世紀初めのスイスの夢想的な芸術家、パウル・クレーの言葉を引用したものである。ジル・ドゥルーズも1987年の講演でこの概念を強調し、次のように訴えている。「芸術、特に映画は、この課題に取り組まなければならない。それは、すでにそこにいると思われる民衆に語りかけることではなく、民衆の創出に貢献することである。」クリスティーナ・ルカスにとっては持続可能な存在を目指し、力と共通の目的を持った、まだ存在しない共同体をつくり出すことが重要なのだ。