「加飾」とは漆芸において蒔絵等の技法をあらす技術用語ですが、染谷は自身にとって「加飾」は素材と技術の余白を埋める為の行為である、と言います。
染谷はこれまで、動物や人体などの有機的な曲線が強調されたフォルムを持つ胎(たい)とよばれる素地の上に、蒔絵や螺鈿、沈金でポップな図柄を描いた作品を制作してきました。こうした加飾表現は、作家自身の記憶や日常、イメージを表出するための行為でもありました。
現在は、漆を全体に塗る行為自体も加飾と捉え、従来の塗り技法とは異なる方法をとり、そこに自然と浮かび上がる模様をも装飾として描き起こしています。加飾という言葉を単なる技法や技術をしめす言葉ではなく、文様を描くということからものを飾るということも含めた、飾りを加えるという幅広い「行為」として捉え、探求し続けています。
7月にイムラアートギャラリー東京で展示した作品に約8点の新作を加え展示いたします。