大友一世は、絵画制作におけるリアリティーのもっとも重要なファクターとして「色」を挙げます。
キャンバスのサイズ、形の起こし方、道具類の選び方にも、大友独自の工夫を重ねながら、最近では、これまでよりも、油絵具という物質そのものの特性に深い関心を持ち、混色に集中しているといえます。混色するほどに黒に近づく中で、大友は、絵画制作の動機である自然への憧憬を保ち、黒へと突き進んでしまわぬよう、画面やパレット上での微妙な混色を繰り返すという非常に抑制された作業を重ねています。本展では、その過程と現時点での成果というべき、紫色を基調とする連作、青・赤・黄三原色それぞれを基調とする3点の2つの空間をつくります。
2007年修士課程修了後、他の若手作家と同様に会社勤務をしながら、大友は、一時の中断もなく絵画制作と発表をつづけてきました。持続する熱意とともに、目前の大きな変化を予感し、当方での2度目の個展を開催いたします。