KUNST ARZT では、大谷史乃の個展を開催します。
大谷史乃は、独特の感性で“モノの存在”を探究するアーティストです。
これまで一貫して、「モノがどのように見えて、どのように認識されるのか」という切り口で作品を展開しています。ウェブ上にあった旅行者による「金閣寺」のスナップ写真から立体的に復元した「5 scenes(2011)」、
国宝の八橋蒔絵螺鈿硯箱の写真を短冊状にカットしたものを箱状に編み再現した「八橋蒔絵硯箱(2011)」、糸からキャンバスを作り出した「みるための(2010)」というユーモラスな展開から、近年は、スピリチュアルに“あるとない”のギリギリの狂気の境界線を提示しています。墨絵のように黒の濃淡・明暗に色彩を限定した、ほとんど影のような写真イメージが、かろうじて支持体としての体を成している透明素材に浮かび上がっています。ご注目いただければ幸いです。(KUNST ARZT 岡本光博)