この度、京都市立芸術大学キャリアアップセンターと京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAは、共催プログラムとして「ARTISTS @HORIKAWA」を開催いたします。本プログラムは、複数の招聘アーティストに共同利用するスタジオスペースを提供し、アーティスト達が非日常的な環境での制作を通し、それぞれの作品に新たな展開を発見する可能性を探ります。プログラム期間中にはオープンスタジオやアーティストトーク等のイベントを開催し、制作過程や進捗状況を広く公開し、数ヶ月後に成果発表としてそれぞれの個展を京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAにて開催致します。
第1回目(*)となる今回は、8月1日(金)〜10月25日(土)の期間に田中秀和(1979)と黒崎香織(1987)の2人の画家を招聘いたします。
黒崎香織は、コンピュータで作成される3D空間(仮想空間)に、単純化された「光」と「奥行き」という絵画要素を見出し、それらを利用することでモチーフの「本質」を描くことが出来るという仮説に基づいて制作しています。自ら作り出した3Dイメージと、選ばれた写真の画面構成により、理想とする絵画空間を探求しています。
田中秀和は、抽象絵画表現として、即興的でリズミカルな視覚的動性を特徴とする画面構成を追求しています。田中の絵画制作は、作品を成立させる重要な要素に「音楽的な時間」を設定しています。一度描いた絵から線や形などをサンプリング、新作や元の画面にプレイバック、さらにそれらをフィードバック、ループさせ、絵とその空間に「重奏」的な時間を構築する試みだといえます。無意識を意識的に構成し、偶然を必然の要素として繰返すことで、独自の抽象言語を獲得しています。
絵画制作において、全く異なる表現形式の両者は、それぞれに絵画制作のプロセス/方法論に強いこだわりを持ち、独自の表現を築いてきました。今回、作品制作のためのスタジオを共有し、作品制作の傍らそれぞれの制作プロセスを垣間見ることは、2人のアーティストにとってどのような作用があるのでしょうか。さらに、アーティスト同士の交流のみならず、制作過程を公開し、緊張感を高めた状態で作品制作に挑むことの出来る場を設けることで、鑑賞者、アーティスト共に、更なる絵画との関わりを模索する機会となることを期待いたします。