2013年6月から開始したオープンリサーチプログラムは、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」の開催まで1年を切った2014年4月以降も、制作の準備と調査のために京都を訪れる参加作家のレクチャーを中心に活発に実施していきます。京都芸術センターと共催する今回のスーザン・フィリップスによるレクチャーは、参加作家第一弾の発表後最初のプログラムとなります。
イギリス人で、現在はベルリンを拠点に活動するスーザン・フィリップスの作品は、音(しばしば自分自身の歌声)を素材に、設置場所の歴史や人々の記憶をも重要な要素として組み込むもので、それは鑑賞(体験)者の記憶とその場の歴史が絡み合うことで創り出される空間作品と言えます。いわゆる「サウンドインスタレーション」には止まらない彼女の作品は2000年前後から大きな注目を集めてきました。そして2010年にはイギリス在住の美術家にとって最も重要な現代美術の賞とされるターナー賞を受賞、2014年にはイギリスの美術への貢献を讃えられ大英帝国勲章(OBE)を受章した彼女は、イギリス現代美術を代表する作家の一人となっています。今回のレクチャーでは、彼女自身が纏めた書籍とウェブサイトと合わせた「You Are Not Alone」という標題で自作について語ります。