京都精華大学
デザイン学部建築学科・連続レクチャーシリーズ
「可能性の空間 [空間論演習2]」
この連続レクチャーシリーズは、京都精華大学建築学科教員及びゲスト講師が空間をめぐる対談や講演を行うものです。建築という枠を超えて、さまざまな角度から空間を捉えることで新たな発想が生まれ、思考の可能性が広がることを期待しています。建築学科の授業「空間論演習2」の一環となっていますが、公開講義ですので、他学科はもちろん、一般の皆様も自由に聴講できます。
*2013後期全体スケジュール⇒
http://www.kyoto-seika.ac.jp/design/two/20130910_7879.html
※※【講演者変更のお知らせ】予定されていた写真家の小川重雄さんのレクチャーにつきまして、やむを得ぬ事情により、講師および内容を変更することとなりました。小川さんのレクチャーを楽しみにされていた皆様には、ご迷惑おかけしますことをお詫び申し上げます。
10月5日
089「愛される」建築へ
鞍田崇 (哲学者)
美しい建築はもういらない。求められているのは「愛される」建築。「愛される」建築は、人々とともにある建築。その建築のもとで過ごし、その空間に触れ、ともに時を重ねていく人々だ。でも、もしかしたら、彼らが愛しているのは、じつは建築ではないのではないか。「愛される」建築は、愛される対象ではなく、じつは媒介にすぎず、ほんとうに愛されているのは何か別のものなのかもしれない。それは、たとえば日々の暮らしであり、そこで出会う人々であり、その空間を共有する街や土地そのものだったりするような、何か……。
建築の美しさが、建築だけで自己完結して成立しうるものならば、もはや建築は必要ない。建築家が、そんな美しさのプロフェッショナルを意味するのであれば、建築家も必要ない。20世紀に現れた「建築家なしの建築」、いわゆるヴァナキュラー建築への羨望や再評価は、「愛される」建築の模索と見ることができる。今回はその原点となった1920年代の状況を手がかりに、これからの建築について考えてみたい。(鞍田崇)
鞍田崇 (Takashi KURATA)
哲学者。1970年生まれ。京都大学文学部哲学科卒業、同大学院人間・環境学研究科博士課程修了。現在、総合地球環境学研究所(地球研)特任准教授。京都精華大学非常勤講師。専門は哲学・環境思想。暮らしの“かたち”を問いなおすという視点から、新たな環境意識のあり方を吟味。それをどう社会と共有するかが目下のテーマ。 著作は、『〈民藝〉のレッスン』(編著)、『焼畑の環境学』(編著)、絵本『たべることは つながること』(共訳)、『雰囲気の美学』(共訳)など。
Coordinator
荒谷省午 (Shogo ARATANI)
建築家。1971年大阪府生まれ。1996年徳島大学工学部建設工学科卒業。1996~2000年無有建築工房。2000年荒谷省午建築研究所設立。2005~2009年大阪市立大学生活科学部非常勤講師。2010年~京都精華大学建築学科非常勤講師。受賞=関西建築新人賞、大阪建築コンクール奨励賞。
HP: http://ararchitect.com/
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≪終了したもの≫
09 | 28 : 088「よりそう」
長谷川豪(建築家) × 鞍田崇(哲学者)Coordinator
≪今後の予定≫
10月12日
090「うつろう」
田村尚子(写真家) × 鞍田崇
10月19日
091「アジアの少数民族フィールドを歩いて思ったこと」
藤木庸介(建築家)
10月26日
092「from hand to hand ~各国での滞在制作について~」
山村幸則(美術家)
11月9日
093「結いという気持ち」
平井純(建築家)
11月23日
094「庭と建築」
荻野寿也(造園家)
11月30日
095「よみがえらす」
森本千絵(コミュニケーション・ディレクター) × 鞍田崇
12月7日
096「建築を学ぶということ」
葉山勉(建築家/京都精華大学教授)
12月14日
097「これまでとこれからのあいだで」
島田陽(建築家) × 荒谷省午
12月21日
098「建築と家具の関係性、日本と世界の関係性」
川邉公太郎(ファニシングクリエイター)