Artificial S 4 左手に左目|右目に右手 : 麥生田 兵吾 展

ジャンル
  • 美術
形 態
  • 展覧会
Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2017年4月21日[金]から5月7日[日]まで、写真家・麥生田兵吾による個展「 Artificial S 4 左手に左目|右目に右手 」を開催いたします。


麥生田兵吾(むぎゅうだ・ひょうご/1976年・大阪府生まれ)は主題として「 Artificial S 」掲げます。この「S」は“Sense=感覚(感性)”などの意であり、「 Artificial S 」とは「人間の手によりつくられた感性・人間が獲得し得る感性」として位置付けられています。
麥生田はこの「S」の探求・実験・鍛錬として、自身が撮影した写真をその日のうちにウェブサイト「pile of photographys」にアップするという取り組みを、2010年1月より現在まで7年以上に渡って、毎日途切れることなく続けています。


また、麥生田はこの主題を現在のところ7章に分類しており、それぞれに深めています。
本展「 Artificial S 4 / 左手に左目|右目に右手 」はその4章に位置づけられているもので、「風景」をテーマとして構成されます。


私たちの目の前には「風景」があり、だから私たちは「風景」を見る。しかし、「風景を見る」とはどういうことでしょうか? そもそも「風景」とは何でしょうか?

「見る」は、目の前に現れる「理解できないもの」と出会う瞬間のことです。そして、「見る」はその瞬間から、目の前に在るものを「理解できる」ものとして捉えようとすることです。この「理解(認識や定義)」とは記憶や経験に基づくもので、つまり、私という同一の視点から見える世界は本来、「私の目の前に在る」ものと「私の記憶や経験に在る」ものの差異を含んで存在し、その差異にこそ「見る」という観察の眼差しが向けられます。

しかし、現代の私たちは、目の前に在るたくさんの差異を『風景』という言葉によって「言語化」し、均一で理解可能なもの(=風景化)とすることに馴れるうち、いつしか「理解できるもの」しか「見えなく」なっているのかもしれません。そして、そのことが私たちの「見る」から、観察の眼差しを失う事態を招いているとも思えます。

展覧会タイトルにある「左手に左目、右目に右手」を想像でなぞり、そこに何が見えるかを思う時、私は「私」の内にある異なる視点・異なる位置を知ることになります。それは均一化していく私たちの「見る」において、「私」の内にはすでに異なる位置があり、それゆえに目の前の「風景」には常に差異があることを示します。同時に目の前の「風景」を均一化せず、そこに様々な差異を「見る」ことは、再び世界の中の「私」の位置を知ることにつながり、本来の「見る」が持っていた観察の眼差しを少し回復することになるのではないでしょうか。

本展において麥生田は、現在の私たちの「見る」が孕む危惧を「風景」をテーマにすることで明らかにするとともに、それらをあくまでもポジティブなものとして迫ろうと目論見ます。それは、なにより私たちが、経験したことのない「左手に左目、右目に右手」からのちぐはぐな「見る」を思う(見る)ことが出来るからであり、私たちが「私」の内部にある位置の違いを発見することが、より生き生きとした「見る」を獲得する手がかりになると考えるからです。

なお、会期中の4月22日[土] 午後5時より、聞き手に写真家・中澤有基(次々回展出展作家)を迎え、麥生田が自作や本展について語るアーティスト・トークを開催します。

※本展は[KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2017]のサテライトイベント「KG+2017 スペシャルエキシビション」にエントリーしています。

イベント情報

日時
2017年4月21日(金)~ 2017年5月7日(日)
11:00 ~ 19:00
金曜日は 20:00 まで
月曜休廊
場所
Gallery PARC
604-8082 京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48
三条ありもとビル [グランマーブル]2階

阪急河原町駅・三条京阪駅より徒歩15分、地下鉄東西線京都市役所前駅より徒歩5分
三条通・御幸町通の交差点北西角[グランマーブル]店舗内2階
料金
無料
URL
http://www.galleryparc.com/exhibition/exhibition_2017/2017_04_21_mugyuda.html
問合せ先
Tel・Fax:075-231-0706
Mail:info@galleryparc.com
※内容は変更になる場合があります。詳細は各イベント主催者にお問い合わせください。
※チケットや申込みが必要なものは、売り切れあるいは定員に達している場合があります。ご了承ください。