Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2017年3月10日[金]から3月26日[日]まで、美術家・山岡敏明による個展「 i was born 」を開催いたします。
1995年に東京造形大学を卒業した山岡敏明(やまおか・としあき/大阪・1972~)は、2003年より「GUTIC STUDY (グチック考)」とする制作・発表に取り組んでいます。山岡は、「形象-フォルム」に着目し、「あったかもしれない可能性」としての「カタチを探す」思索と行為をおもに平面上に展開しています。「GUTIC(グチック)」とは山岡によって描き出された、ある種の形象やフォルムに関して、作家自身が名付けた仮の呼称です。
今回の展覧会タイトルは、吉野弘の詩「I was born」からとられています。
この詩の中で、英語を習ったばかりの「僕」は、妊娠した女性とすれ違い、ふと「<生まれる>(=I was born)ということがまさしく<受身>である訳を諒解」します。父にその発見を告げると、父は訥々と、2~3日で死ぬ蜉蝣(かげろう)の話をしたあと、「僕」の母が僕の出生後間もなく死んだことを告げます。父の話は、口すら退化し、胸の方まで卵にふさがれた雌の蜉蝣と「母」を重ねた、強烈なイメージを「僕」に思い描かせます。